ETCの次世代規格「ETC2.0」が2016年4月より本格的運用が開始されています。 ETC2.0とは従来の通行料金自動決済機能に加え、道路に設置されたITSスポットと呼ばれるアンテナより大容量かつ高速な双方向通信をおこなうことで、ドライバーに様々な有益な情報を提供します。
さらに今後ETC2.0のサービス展開として、ドライブスルー型の店舗や駐車場、ガソリンスタンドなどでの自動料金決済や、サービスエリアでインターネット接続による観光情報の提供などが予定されています。
DSRCからETC2.0へ
2001年から運用が始まったETCですが、自動料金収受システムだけだったETCに情報提供サービスが付加され、2011年にDSRC技術を用いたITSスポットサービスが開始し名称も変更されました。
2014年10月より従来のITSスポットサービスに新サービスをプラスしてETC2.0サービスと名称を変更・統一し現在に至っています。 現在でもETC車載器などに「DSRC」や「ITSスポット」などのロゴが明記されていますが、どちらもETC2.0対応機器になります。
しかしETC2.0の新サービスを受けるには2015年7月以降にセットアップを行っている必要があり、2015年6月以前にセットアップを行ったETC2.0対応車載器は新たに再セットアップを行う必要があります。

ETC2.0の仕組み
高速道路上に設置済みのITSスポットは全国で1,600箇所。このITSスポット下を通過するたび、自動的にITSスポットと車載器間でDSRC技術を用いた大容量・高速な双方向通信が行われます。 これにより得られる情報は膨大で、広範囲にわたる交通情報や画像データなども得ることができます。たとえばETC2.0対応のカーナビでは画像データから渋滞箇所の状況などを視覚から得ることができ、より現実に即した道路状況の把握が可能となります。
ITSスポット
従来のVISC(電波ビーコン2.4GHz帯)では最大道路延長200kmの情報が得られましたが、ETC2.0(電波ビーコン5.8GHz帯)ではそれをはるかに超える最大1,000kmの情報を得ることができます。 またITSスポット1箇所から得られる簡易図形情報が、従来の1枚から4枚へと大幅に増えており、視覚情報の幅も広がりをみせています。

国土交通省のサイトによりますと、高速道路本線上のITSスポット設置の考え方として、都市間高速道路ではおおむね10km~15km間隔、都市内高速道路では4km間隔で設置と記載されています。
DSRC
DSRC (Dedicated Short Range Communications) とは狭い範囲での双方向通信を目的とした5.8GHz帯の電波ビーコンによる通信方式です。ETCの自動料金収受システムにも同様の通信方式が採用されています。

3つの基本サービス
1. 渋滞回避支援
ITSスポットから最新情報を得るたびに、ETC2.0に対応したカーナビなどでは常に最適なルートを案内します。

2. 安全運転支援
カメラやパトロール、一般からの通報など交通管制センターで集約された道路上の様々な情報が、ITSスポットを通して対応機器に送られます。これにより落下物などの障害の手前では音声・画像による注意喚起が事前に促され、事故を未然に防ぐことも期待されます。 また事故多発地点や気象の急変などでも事前に注意喚起が促されます。

参考として首都高速の事故多発ワースト1箇所である参宮橋カーブでは、カーブ先の渋滞情報提供により追突事故などを約6割削減できたと報告されています。
3. 災害時支援
災害発生と同時に災害発生状況と併せて、支援情報を提供します。

新たな割引の導入
ETC2.0車載器により自動収受システムを利用する車両を対象に、新たな通行料金の割引が2016年4月1日よりすでに実施されています。 主に首都圏を対象とした割引で、交通集中・渋滞緩和対策として導入されています。
ETC2.0割引
圏央道および新湘南バイパスをETC2.0車載器で利用した場合、通行料金が約2割引きされます。
対象区間
- 圏央道:茅ヶ崎JCT ~ 海老名JCT 海老名~木更津JCT
- 新湘南バイパス:藤沢~茅ヶ崎
外環道迂回利用割引
都心部を発着し放射高速道路を利用する場合、東京外環道を1JCT間のみ迂回利用した場合であっても東京外環道の料金は全額割引されます。
適用要件
- 首都高速の都心環状線内の出入口※1を発着
- 東京外環道を1JCT間のみ迂回利用して放射高速道路※2を利用
- 料金所でETC無線通信により走行
※1首都高速の都心環状線内の出入り口
- 首都高速
- 宝町、京橋、新富町、銀座、汐留、芝公園、飯倉、霞が関、代官町、北の丸、神田橋、常盤橋、八重洲、丸の内、呉服橋、江戸橋
- 東京高速
- 新橋、土橋、西銀座、新京橋、東銀座
※2対象となる放射高速道路
- 東北道、常磐道、首都高速埼玉大宮線
詳しくは以下を参考にしてください。